私には何もない

 今日人と話している時、趣味はと聞かれて読書、好きな物はと聞かれて本、と本の虫のようなことを言ったが、そんなのはもう数年前の話であって、今は全然読めなくなっているのだった。
 おまけに、「小説が好きなら自分で書いてるの?」などと聞かれ、まあ、一応、と答えたが、実際には400文字程度のを数回書いたことがある程度で、とても小説を書いてるとは言えないのであった。
 嘘をついたことで、自分の空っぽさが余計強調されて、ちょっと、苦しい。話してた相手が真面目に絵描きという表現者を目指してたってのもまた、私にコンプレックスを抱かせた。「小説完成したら見せてよ。挿絵描くからさ!」とかまぶしすぎて死にたくなった。